薄毛の原因|ストレス(2)

前回『薄毛の原因|ストレス(1)』でストレスが体の持つ「ホメオスタシス」の働きを乱すこと。その働きの1つ、自律神経について説明しました。
今回は残り2つについて、説明していきたいと思います。

ホルモンバランスの乱れ

 
ホルモンは体内で作られるごく微量で強い作用を持つ化学物質で、身体のいろいろな機能を正常に機能させる働きがあります。
視床下部はストレッサーを認識すると、コルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンなど「ストレスホルモン」と総称される神経伝達物質を分泌し、交感神経を刺激して、脈拍を早くし、血圧・血糖値を上げ、心身を「闘争と逃走モード」、つまりストレスに対して脳や体が対応できるように調節します。

ストレスホルモンの代表は「コルチゾール」という副腎皮質で生産されるステロイドホルモンの1つです。
普段は生活リズムに合わせて一定量が分泌されていますが、ストレスに反応したときにはそれに対抗するためにさらに分泌量が増えます。
コルチゾールには交感神経を高めて脈拍を早くし、血圧・血糖値を上げる働き、緊急時のエネルギーを確保するために筋肉を分解してブドウ糖に変える働き、作ったエネルギーを他に使わせないように免疫力を低下させて炎症を抑える働きがあります。

しかし長期間、もしくは強烈なストレスに晒されると、通常よりもホルモンが過剰に分泌するようになり、血圧、血糖値があがったままで血流が悪くなります。
また免疫力が低下することで感染症などにかかりやすく、傷が治りにくくなるので、頭皮トラブルが続きやすくなります。

コルチゾールが過剰になることで副腎に負担がかかり、身体中のホルモンバランスが崩れてきます。
・皮脂分泌を増やし角質が厚くなりする作用のある男性ホルモンは増え、過剰な皮脂によって毛穴が詰まりやすく、頭皮ニキビや炎症など頭皮環境が悪化しやすくなります。
・エストロゲンとプロゲステロン、この2つの女性ホルモンには髪の成長を促して寿命を延ばす、髪にハリ・コシ・艶を与えるという働きがありますが、分泌が抑制され、バランスが乱れることで体調や精神的な不調をもたらし、髪にも影響が及びます。
・睡眠ホルモンは抑制され、不眠症などの睡眠障害が起きやすくなり、十分な休養を取れなくなります。
・成長ホルモンも抑制され、新しい髪や皮膚の生成が遅くなり、ターンオーバーが乱れるようになります。
・過剰分泌が続くと副腎は疲労し、コルチゾールが作れなくなると、代わりにアドレナリン・ノルアドレナリンが過剰分泌されるようになることで自律神経の乱れに影響する

またストレスホルモンの生成・分解、さらにその過程で発生する活性酸素の対応のために、ビタミンBやビタミンCなどのビタミンや、亜鉛・マグネシウム・ナトリウムなどのミネラルなどが大量に消費されます。
そのため頭皮に送られる栄養が減少してしまい、発生した活性酸素によって体内の酸化が進みやすくなります。

ストレスホルモンは過剰分泌が続くと最終的には枯渇し、ストレスに対抗できなくなることで肉体的にも精神的にも過剰に反応が出るようになり、回復ができない慢性的な疲労の状態になり、心身の病気につながります。

免疫の異常

 

人体は外部から異物や病原体(抗原)が侵入してくると、抗原に対抗する抗体を作ります。そして再び抗原が体に侵入してくると抗体が抗原を攻撃して排出しようと働き、病気になるのを防ぐ免疫というシステムがあります。

この免疫システムもまた視床下部がコントロールしていて、自律神経とホルモンバランスと連携して身体全体で機能しています。
適度なストレス下では免疫は強まり、心身を守る働きをします。

しかし長期間、もしくは強烈なストレスに晒されると、免疫の機能は抑制されます。
さらに自律神経・ホルモンバランスがどちらもその働きが乱れてくることから免疫システムを影響を受けてしまいます。

それが続くことで病原体などの外敵を攻撃するシステムが乱れ、自分自身の正常な細胞や組織に過剰反応して攻撃を加えてしまう異常が起きることがあります。
この自己免疫機能の異常症状を自己免疫疾患を言いますが、この異常で毛根が攻撃を受けて毛包が破壊されると髪が抜けていきます。
はっきりとしたシステムはまだわかっていませんが、円形脱毛症はこの自己免疫疾患が深く関わっていると言われています。

改善方法

 

自律神経系、内分泌系(ホルモンバランス)、免疫系の3つの働きは相互に作用しあっています。
ストレスによってその働きが乱れたときもまた密接に関わり、心身に異常を起こし、薄毛の原因になります。
しかしストレスが原因の薄毛の問題が難しいのは、その異常から引き起こされる症状がさらに間接的な原因にもなるからです。

・高血圧、糖尿病、肥満症、冷え性
・不眠、睡眠障害
・食欲不振、拒食、過食
・皮膚や胃腸などの炎症
・酒やたばこ、カフェインなどへの依存症
・自律神経失調症、うつ病

上記であげたものは、薄毛の間接的な原因であげられるものですが、どれも自律神経、ホルモンバランス、免疫の異常が関わっているので、問題が複合的で対策が難しいとも言えます。

改善方法としては、まず第一は規則正しい生活習慣をすることが大事です。

・早寝早起き、十分な睡眠を取ること
・太陽の光を浴びること
・栄養バランスのよい食事
・体を清潔に保つ
・適度な運動

人間には生まれながらに持つ生物としての生活リズム「体内時計」があり、自律神経・ホルモンバランス・免疫の働きもそのリズムに従って時間で変化しています。
朝から夜の1日の周期に従った体内時計のリズムで生活することが、人体にとっては無理なく、より効率的に生命を維持していけるようになっています。
規則正しい生活はこの体内時計のズレを直し、生活リズムを整えるので不調の改善につながります。

またストレッサーとストレスを分けて、対策を取っていくことも大事です。

生活していくうえでストレッサーをゼロにすることは不可能です。
それでも寒暖なら服装と空調で、花粉ならマスクでなど、対策していけることもあります。
仕事や精神的な悩みはすぐに改善できるものではないとは思いますが、運動や趣味に没頭したり、違う視点や考え方を取り入れたり、不快な気持ちを発散できる方法を見つけるなど、心身に溜め込まないことが大事です。

またストレスとして心身に不調が現れたら、できるだけ早く通院や投薬による療養、カウンセリングなど、症状に合わせた適切なケアをすることが大事です。
心身の不調がさらなるストレッサーになるので、ストレスが積み重なっていかないようにするには必要なことです。


ストレスはまだ解明されていないことも多く、生活していくうえで誰しも無関係ではない複雑で難しい問題です。
さらに言えば、人それぞれ、みんなが違うストレスを抱えているのです。
だからこそ、自分にとってのストレッサーとストレスをきちんと考えることが必要で、それで対抗策もみつかっていくと思います。