薄毛の原因|睡眠不足

1日のうちで1番髪が育つのは睡眠時です。

ぐっすりと熟睡した日の朝の肌はふっくら、しっとり、つやつや。血色も肌艶も良い状態になりますよね。
逆に睡眠時間が足りない、熟睡できなかったときの肌はカサカサ、ザラザラ、ブツブツ。見た目も手触りも悪い、肌荒れ状態のことが多いと思います。

髪は肌と同じ成分で作られていますので、これと同じことが髪でも起きています。
つまり十分に睡眠を取ることが健康な髪を作ることに繋がります。

副交感神経と成長ホルモンの働き

 
睡眠時は副交感神経が優位に働くことで体が「休息と消化モード」に変わり、脳と身体を休め、日中に溜まった疲れやダメージを修復して、回復・成長させる時間になります。

睡眠には体の睡眠と呼ばれる浅い眠りの「レム睡眠」と脳の睡眠と呼ばれる深い眠りの「ノンレム睡眠」の2種類があります。
人が眠りにつくときは浅い眠りからノンレム睡眠の深い眠りに入り、その深さのピークを過ぎると徐々に浅いレム睡眠に移る。この周期を約90分で繰り返して、脳と身体を交互に休みます。

身体はより効果的に回復や成長を行えるように、睡眠中にさまざまなホルモンを分泌しますが、ホルモンはレム睡眠より、深い眠りのノンレム睡眠のときにより多く分泌されます。
そして副交感神経が優位になって拡張して血行の良くなった血管をとおり、身体のすみずみの細胞まで血液に乗ってホルモンは酸素や栄養素などと一緒に細胞に行き渡ります。
血液は細胞に栄養を届けると、細胞からは不要となった老廃物や二酸化炭素を回収し、そして活動しやすい状態になった細胞は盛んに細胞分裂をはじめて修復・回復を始めます。

睡眠中に分泌されるホルモンの中でも、新しい髪や皮膚の生成を促進するのに重要な役割を果たすのは「成長ホルモン」です。
成長ホルモンには成長作用、睡眠中に血糖を維持して代謝をコントロールする作用があり、細胞分裂を盛んにして新陳代謝を促進して、身体の成長・修復・疲労回復の役割を果たします。
その分泌のピークは13~17歳ころで、成人後も一定量が分泌されますが年齢とともに低下していきます。
その減り続ける成長ホルモンをいかに多く分泌できることが、髪の成長につながると言えます。

成長ホルモンは眠りについて30分~1時間ほどで分泌され始め、1時間半~3時間後にその分泌がピークになると言われています。
よく眠りについての最初の3時間まで、つまり睡眠の周期の1週目と2週目を指して「ゴールデンタイム」と言いますが、それはこの成長ホルモンの分泌のリズムのためです。

睡眠不足が体に起こす悪影響

 
人間が本来持つ体内リズムでは夕方から夜にかけては副交感神経優位な時間帯です。
しかし睡眠不足が続くと副交感神経が働きにくく、交感神経が優位な状態が続きやすくなり、自律神経のバランスが崩れてきます。

脳は睡眠中に記憶情報の整理を行い、日中に受けたダメージを修復しますが、睡眠不足だと十分に行うことができません。
そのため記憶力や集中力、認識能力など頭で判断したり考える能力が低下し、常にイライラしたり、無気力になるなど不安定な精神状態になります。
さらに睡眠不足が長く続くと脳細胞自体が破壊されてしまうため、脳が損傷してその働きが十全にできなくなります。

交感神経が優位だと血管は収縮するので血行が悪くなり、十分な酸素や栄養素を細胞に送れず、体内の老廃物などが溜まっていくため新陳代謝が阻害されます。
また血圧や心拍数、血糖値が高い状態が続くと、身体に負担がかかるようになります。

胃腸などの消化器官では働きが弱ってくるので食欲が減退しやすく、食事から取り込む栄養素が減っていきます。
そして腸の働きが悪くなることで便秘になりやすく、腸内には悪玉菌が増殖すると体の免疫力が低下し、血液が汚れた状態となることで血行が悪くなります。

自律神経は免疫システム、ホルモンバランスとも連動しているため、バランスが崩れるとほかの2つも働きが乱れてきます。

人体は細菌やウイルスなどの外部刺激(抗原)の侵入を監視し、退治して病気になるのを防ぐ免疫システムが働いていますが、この役割を果たす免疫細胞が作られ、活動が活発になるのは睡眠時です。
睡眠不足になると免疫細胞の働きが低下するため、外部刺激に対抗できず炎症を起こしたり、システムが乱れることで異常な反応が起きて抜け毛の原因に繋がります。

睡眠時に分泌されるホルモンは成長ホルモン以外にもさまざまありますが、睡眠不足だとホルモンバランスが乱れて、女性ホルモンは減少、男性ホルモンは過剰になりがちです。
髪の成長を促す女性ホルモンは抑制されることで、体調や精神的な不調をもたらし、髪にも影響が及びます。
逆に男性ホルモンは過剰になり、皮脂の過剰分泌や毛穴つまりで頭皮環境が悪化しやすくなり、またAGAを引き起こす原因に繋がります。

さらに脳や身体が休めず、修復・成長が十分に行えずにいることで溜まる疲労や不安定な精神状態は、それ自体が大きなストレスとなり、さらなる悪循環に輪をかけてしまうのです。
※参照 『薄毛の原因|ストレス(1)』『薄毛の原因|ストレス(2)』

睡眠に関係するホルモン

 
成長ホルモン以外の睡眠に重要なホルモンが2つあります。

1つはメラトニン。
メラトニンには人の体内時計と連動して副交感神経を刺激して血圧・心拍数・体温などを低下させて自然な眠りを誘い、深い睡眠を維持する働きがあり、別名「睡眠ホルモン」と呼ばれるホルモンです。
またメラトニンには強力な抗酸化作用と免疫細胞を活性化させる働きがあり、身体を回復させる質の高い睡眠には必要不可欠なホルモンがあります。

メラトニンの分泌を促す因子は光で、目覚めて光を浴びてから14~16時間ぐらい経過すると体内時計によって分泌が始まります。
それから徐々に分泌量が増えていくと体が休息モードに入り、入眠後の深部体温が最低になる1~2時間前に分泌のピークを迎えます。
そしてピーク後は分泌量が減っていき、目覚めて光を浴びると分泌が止まり、新たな周期が始まります。

メラトニンは自然の概日リズムに沿って、光を感知すると分泌が減り、暗くなると分泌が増えるシステムとなっています。
メラトニンが加齢とともに分泌が減りますが、不足すると不眠症や睡眠障害の原因となります。
そのため十分な分泌を促すためには生活もそのリズムに合わせて、朝にしっかり朝日を浴びる、夜は明るい光や興奮するような事象を避けて、就寝時間を一定にすることが大事です。

もう1つはコルチゾールです。
生命維持ストレスを受けたときには対抗するため役割を持つため「ストレスホルモン」と呼ばれますが、交感神経を刺激して脳を覚醒し、血圧や血糖を調整して体を活動できるようにする働きがあります。
浅い眠りのレム睡眠の時間帯に目覚めるとすっきりと起きることができるのは、この時間帯により多くコルチゾールが分泌されているからです。

コルチゾールはメラトニンとは反比例の関係で、基本的には日中に活動しやすくするために分泌が増え、眠りにつく前が最も少なくなります。
しかしメラトニンとは分泌の因子が異なり、時間によって分泌がコントロールされており、起床時間のおよそ3時間前から分泌し始めて、起床前後が分泌の最大になります。
そのため睡眠・起床に関わらず同じ時間帯に分泌されているということで、睡眠・起床時間が一定なら問題ありませんが、時間が不規則な場合はその周期が乱れやすくなります。
またストレスによって増加するため、分泌が過剰になると不眠症などの睡眠障害や心身の異常を引き起こす可能性があります。

改善のためには

 
睡眠中の副交感神経の休息・修復・成長の働き、ホルモンの分泌量は眠りの深さと時間によって差があります。
その働きをより高めるには途中で何度も目覚めてしまうような浅い睡眠よりは、熟睡や快眠と呼ばれる質の高い睡眠を毎日とることが大事です。

質の高い睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠がバランスよくとれていること。
特にノンレム睡眠は目を覚まさないような深い睡眠であることが重要です
全身の司令塔である脳を休めないとその機能が十分に発揮できなくなりますし、眠りが深いほどホルモンの分泌量が増えてより新陳代謝が高まると言われています。
さらに眠りについて3時間までは成長ホルモンの分泌のピークにも当たるため、この時間はしっかり睡眠を取るようにしましょう。

睡眠時間は個人差や年齢差によって異なりますが、90分の倍数の理想的と一般的には言われています。
それはノンレム睡眠に起きると頭がぼーっとした状態が続きやすいので、レム睡眠に合わせたほうがすっきりと起きられるからです。

また睡眠に関係する3つのホルモン(成長ホルモン・メラトニン・コルチゾール)は体内時計に影響を受けるため、太陽の光に合わせて規則正しい生活することが質の高い睡眠のためのポイントです。

・就寝時間・起床時間を一定に整える
・朝起きたら光を浴びる
・日中に運動をする
・3食を同じ時間にとる。
・夜寝る前に強い光を浴びたり、興奮する行為は避ける
・体温が下がらないと寝付きにくくなるので、寝る2〜3時間前までに入浴は済ませる
・暗い所で眠る

良い睡眠には食事の影響も大きいです。
寝る前に食事をすると胃腸が働くので熟睡できなくなりますし、食べ物の消化・栄養の吸収の効率が下がるので消化不良を起こしやすくなります。
さらに血糖値があがっていると、成長ホルモンの分泌量が下がるとも言われています。
そのため寝る前の2~3時間前には食事を済ませておきましょう。
またアルコールやカフェインなどの刺激物は眠りを妨げ、睡眠に悪影響を及ぼすので控えましょう。


睡眠は髪の成長はもちろんのこと、身体の健康を保つうえでは欠かせないものの1つです。
ただ長く眠れば効果があるものではなく、ぐっすり深く眠ることが大事です。

現代日本では40代女性が最も睡眠時間が短いという統計が出ています。
さらに女性は男性よりも加齢によるホルモンバランスの崩れ、ストレスなどの影響でも不眠で悩む人が多いとも言われています。

寝る前にスマホ、コーヒーやお茶が習慣になっていませんか?
そんなちょっとしたことが快眠の妨げになっていることがあります。
快眠のためにぜひ生活習慣を見直してみてください。